猫はつらいよ

猫はつらいよ




俺の名前はカルピン!

越前家に飼われているヒマラヤンの猫だ。

俺のご主人様はテニスしか目がない。

しかし…

それもつい最近までだった。

この頃ご主人様はやたらとおかしかった。

例えばある日曜日。

いつもなら昼くらいまでぐっすりと寝ているご主人様……

でもなぜかその日は早く起きていた。

しかも何やらそわそわしていた。

………怪しい。

それからご主人様はテニスウェアではない洋服着て出かけて行った。

どうやら誰かと待ち合わせでもしているのだろうか。

そんな事をふと思ってその日は終了した。



それからというものご主人様は今までとは変わった。

俺にしきりに話し掛けてくる。

しかも内容がテニスの事ではなかった!

そう……

女の子の話をするようになったんだ。

何だかとても信じられない話だが本当なのは認めざるを得ない。

そして少しづつ俺にはその女の子の事が分かってきた。

名前はというらしい。

ちなみに年齢がご主人様より一つ年上だという事。

ご主人様が言うには何だか気軽に話し掛けられるような雰囲気をもっているらしい。

男らしくも女らしくもない性格がご主人様は気に入ったと言っていた。

話の内容からするとすでに二人は付き合っているという事実も発覚した。

あのご主人様が恋だ………

やはりご主人様も思春期なんだと思った。

今、俺はご主人様の部屋でうずくまっている。

ここには俺しかいない。

時刻は午後4時。

今日は部活が珍しくなくあの例の彼女を連れてくると昨日言っていた。

俺は彼女とは初対面になる。

こういうのってちょっとは緊張したりするものだ。

人間様からいえば何で猫のお前が緊張なんかしてるんだ!と思うだろう。

猫だって人間と同じで感情くらいはあるんだ。

まぁ、顔にはだせないけど。


、入って」


そんな事を考えているうちにご主人様の帰宅だ。


「カルピン。ただいま」


「ほぁら〜」


いつものように返事をしておく。

するとご主人様の奥から目の大きな女の子が入ってきた。

なるほど……なかなか可愛いと俺はみた。

ご主人様はセンスがいい。


「あ〜!このコがカルピンちゃん?」


え!?俺!?!?


「まぁね」


「わ〜…可愛いね〜vv」


と言い彼女は俺に笑いかけた。


「はじめまして。です。いつもリョーマくんにはお世話になっています!」


そして彼女は俺に向かってペコリと頭を下げた。

この俺に頭を下げた人間なんて初めてだ!!


「………先輩。何頭なんか下げてんスか?」


「え?だってカルピンちゃんには初対面だしこれくらいは常識じゃない?」


「…………」


俺はちょっと…いやかなり嬉しかった。

そこらへんのペットとしてではなく人間と同じように扱ってくれた彼女。

ものすごく俺は彼女が気に入った。


「うわぁ!柔らかぁ〜い!!!!」


「ほぁら〜!」


ちょ、ちょっと待ってくれ!

彼女はぎゅうっと俺を抱きしめた。

あぁ……何だか幸せな気分である。

それから彼女は俺に話し掛けたり遊んでくれたりした。

そうしているうちに1時間がたつ。

………この時、俺は気づけなかった。

よ〜く考えてみろ。

彼女はご主人様と付き合っている。

それなのに俺にばかり構っている……

あのご主人様がいい顔をしている訳がない!!


「……先輩」


「カルピンちゃ〜ん!本当に可愛いね〜vv」


「………先輩」


「もうぬいぐるみみたいだよね〜vv」


「………」


「このまま私ん家に来ない?」


!!」


「ひゃあ!」


さすがの俺もびくっ!とした。

あのご主人様が大声を出すなんて滅多に有りえない事だからだ。


…」


「あ…リョーマくん……」


「…分かってんの?」


「な、何が?」


さ…今日……何で俺ん家来たの?」


「え!?それは…リョーマくんとお話しに……」


「ふ〜ん。じゃあ何でカルピンとしか話さない訳?」


「……ごめんなさい」


「………だったら」


「え?」


「責任とってよね」


「は…?ってぅわ!!!」


瞬間、何が起こったのか俺は分からなかった。

いきなりさっきまで目の前にいた彼女が消えた。

何処に行ったんだ?なんて思って前に横に目をやると……


「リョーマくん!?」


「何」


「え??……あの…///」


何と!!!

ご、ご主人様が彼女を床に押し倒してるではないか!!!!!

まってくれ!

まだご主人様達は中学生というもので……///


がいけないんだからね」


「そ、それは私が悪かったけど!!でも……その〜」


「今さら文句なんて言わせないから」


「ぇ…んっ!?」


ぎゃあああ!(カルピン壊)

KISS〜!?!?

しかもこれは……どっからどうみたって大人のキスというものでは…///

完全に俺は忘れ去られている。


「ん……っはぁ…待って!」


「ヤダ」


「あっ……駄目っ!」


ついにご主人様が彼女の服に手をかけた瞬間だった。


「よぉ!青少年!彼女は………………」


ガチャリ…と部屋のドアが開き親父さんが入ってきたではないか!!


「「あ……」」


彼女は押し倒しているご主人様。

しかも服が微妙に乱れている。


「……ほほぉ〜」


唖然としていた親父さんだったがしばらくするとにやりと笑って言った。


「息子よ、なかなかやるではないか。さすが俺の息子といったところか」


「……親父(怒)」


「う〜む。しかしだな中学生で……いや、そんな事もないな。
 

リョーマ、彼女を疲れさせない程度に……ぎゃあ!」


「リ、リョーマくんっ!!!」


ガン!という音がしたかと思うと俺の目の前で頭にこぶをつくり倒れている親父さん。

近くにはコロコロとテニスボールが転がっている。


「親父……」


「リョーマ!てめぇ親に向かって何て事を!!」


「もう1つ………………………………いる?」


「え…。いや…そのだな……うん」


「リョ―…マくん……」


やはりこうなったか。

猫にはこういうのはつきものだ。

幸せかと思いきや油断しているととんでもない事になる。

俺の目の前で繰り広げられる修羅場。







ふぅ……



やっぱり…………













「親父!待て!!」



「リョーマ!!止めっ…ふんぎゃ!!」



「ど、どうしよ〜(困)」













猫はつらいよ………
















―END―






++++++++++後書き++++++++++


カルピン視点です。

様、すでにお分かりかと思いますがこの題名は

「男はつらいよ」からとりました。(無理やり)

内容は決まっていたのですがどうしても題名だけが決まらなく………

考えて考えまくり…

決定致しました。

こんな駄目文でスミマセン…>.<

ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m






























[PR]動画